2020年09月30日

退職金の仮差押え(2)

離婚事件の主文は「Yは、Xに対し、YがA町から退職金を支給されたときは、B円を支払え」というものでした。

Yが定年退職する年月日はわかっていましたが、Yが早期退職するかもしれません。
そこで、YがA町に対して有する退職金債権を仮に差し押さえました。

本来、「仮差押え」とは、本案訴訟で判決が出る前に権利・財産をロックするものです。
判決が出た後に仮差押えを行うことはあまり想定されていません。

ですが、判決が出ても強制執行がすぐにはできないし、いつ強制執行ができるようになるのか債権者には正確にわからないという特殊性があることから、仮差押えが認められました。
Yが公務員で、退職金が支給されることがほぼ確実で、定年まであと2年をきっていたという事情もあって認められたのかと思います。

仮差押えをする場合、普通は2〜3割の担保を積まなければならないのですが、本件はすでに判決が出て権利があることは確定しているということで、無担保で発令されました。

その後、第三債務者(A町)が供託をして、Yが退職した後に供託金から還付を受けることができました。

当初は、全額回収できるかドキドキしていましたが、最終的には全額を回収できました。
posted by 小西法律事務所 at 21:29| Comment(0) | 民事事件

2020年09月29日

退職金の仮差押え(1)

離婚に伴う財産分与で、将来の退職金が財産分与の対象となることがあります。
配偶者の退職がわりと近い将来で、退職金が出る可能性が高い職場に勤めている場合は、退職金の一部が財産分与の対象になることが多いです。
ただ、本当に退職金が出るかどうかはその時になってみないとわからないので、判決では「被告が退職したときは〇〇円を支払え」というような主文になるのが普通です。
これは、支払義務がある方にとってはいいのですが、支払ってもらう側からすると不安の残る主文です。
配偶者がいつ退職するかはわからないですし、知らないうちに退職金が支払われ、その退職金が使われてしまうと支払いを受けられないからです。
将来の退職金を確保する方法として、退職金請求権を仮に差押え、回収した事例を紹介します。
posted by 小西法律事務所 at 21:49| Comment(0) | 民事事件

2017年11月23日

固定資産評価証明書の取り寄せ

民事事件や家事事件を処理する上で、不動産の固定資産評価証明書が必要になることがよくあります。
依頼者の不動産であれば依頼者にとってもらえばよいのですが、
相手方の不動産だと簡単に取ることはできません。

他人の不動産の固定資産評価証明書を取り寄せることができるのは以下のとおりです。
これは、地方税法382条の3・地方税施行令52条の15第4号で定められています。

 訴え提起・控訴・上告・反訴など(民事訴訟費用等に関する法律・別表第1・1〜7)
 支払督促(民事訴訟費用等に関する法律・別表第1・10)
 仮差押・仮処分(民事訴訟費用等に関する法律・別表第1・11の2ロ)
 借地非訟事件(民事訴訟費用等に関する法律・別表第1・13)
 民事調停・労働審判(民事訴訟費用等に関する法律・別表第1・14)

上記の中には民事執行が含まれていませんが、民事執行法18条3項に規定があり、
民事執行を申し立てようとする人は、この規定に基づいて固定資産評価証明書を取ることができます。





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